妙法蓮華経 如来寿量品 第十六
諸の善男子如来諸の衆生の小法を楽える徳薄垢重の者を見ては
是の人の為に我少くして出家し阿耨多羅三藐三菩提を得たりと説く
然るに我実に成仏してより已来久遠なること斯の若し但方便を以て衆生を教化して仏道に入らしめんとして是の如き説を作す
諸の善男子如来の演ぶる所の経典は皆衆生を度脱せんが為なり或は己身を説き或は他身を説き或は己身を示し或は他身を示し或は己事を示し或は他事を示す
諸の言説する所は皆実にして虚しからず所以は何ん
如来は如実に三界の相を知見す生死の若しは退若しは出あることなく亦在世及び滅度の者なし実に非ず虚に非ず如に非ず異に非ず三界の三界を見るが如くならず斯の如きの事如来明かに見て錯謬あることなし
諸の衆生種種の性種種の欲種種の行種種の憶想分別あるを以ての故に諸の善根を生ぜしめんと欲して若干の因縁譬諭言辞を以て種種に法を説く所作の仏事未だ曾て暫くも廃せず
是の如く我成仏してより已来甚だ大に久遠なり寿命無量阿僧祇劫常住にして滅せず
諸の善男子我本菩薩の道を行じて成ぜし所の寿命今猶お未だ尽きず復上の数に倍せり
然るに今実の滅度に非れども而も便ち唱えて当に滅度を取るべしと言う
如来是の方便を以て衆生を教化す所以は何ん若し仏久しく世に住せば薄徳の人は善根を種えず貧窮下賎にして五欲に貧著し憶想妄見の網の中に入りなん若し如来常に在って滅せずと見ば便ちキョウ恣を起して厭怠を懐き難遭の想恭敬の心を生ずること能わず
是の故に如来方便を以て説く比丘当に知るべし諸仏の出世には値遇すべきこと難し
所以は何ん諸の薄徳の人は無量百千万億劫を過ぎて或は仏を見るあり或は見ざる者あり此の事を以ての故に我是の言をなす諸の比丘如来は見ること得べきこと難しと斯の衆生等是の如き語を聞いては必ず当に難遭の想を生じ心に恋慕を懐き仏を渇仰して便ち善根を種ゆべし是の故に如来実に滅せずと雖も而も滅度すと言う
又善男子諸仏如来は法皆是の如し
衆生を度せんが為なれば
皆実にして虚しからず
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