妙法蓮華経 従地涌出品 第十五

 

爾の時に 弥勒菩薩摩訶薩 及び 無数の諸の菩薩等 心に疑惑を生じ 未曾有なりと怪んで 是の念を作さく
云何ぞ 世尊 少時の間に於て 是の如き 無量無辺阿僧祇の 諸の大菩薩を教化して 阿耨多羅三藐三菩提に 住せしめたまえる

即ち 仏に白して言さく 世尊 如来 太子たりし時 釈の宮を出でて 伽耶城を去ること遠からず 道場に坐して 阿耨多羅三藐三菩提を 成ずることを得たまえり
是れより已来 始めて 四十余年を過ぎたり
世尊 云何ぞ 此の 少時に於て 大に仏事を作したまえる
仏の勢力を以てや 仏の功徳を以てや 是の如き 無量の大菩薩衆を教化して 当に 阿耨多羅三藐三菩提を 成ぜしめたもうべき

世尊 此の 大菩薩衆は 仮使 人あって 千万億劫に於て 数うとも 尽くすこと能わず 其の辺を得じ
斯れ等は 久遠より已来 無量無辺の諸仏の所に於て 諸の善根を植え 菩薩の道を成就し 常に 梵行を修せり
世尊 此の如きの事は 世の信じ難き所なり

譬えば 人あって 色 美しく 髪 黒くして 年 二十五なる 百歳の人を指して 是れ 我が子なりと言わん 其の 百歳の人 亦 年少を指して 是れ 我が父なり 我等を 生育せりと言わん
是の事 信じ難きが如く 仏も 亦 是の如し
得道より已来 其れ 実に 未だ久しからず
而るに此の大衆の諸の菩薩等は 已に 無量千万億劫に於て 仏道の為の故に 勤行精進し 善く 無量百千万億の三昧に 入 出 住し 大神通を得 久しく 梵行を修し 善能 次第に諸の善法を集い 問答に 巧みに 人中の宝として 一切世間に 甚だ為れ希有なり

今日 世尊 方に 仏道を得たまいし時 初めて 発心せしめ 教化示導して 阿耨多羅三藐三菩提に 向わしめたりと云う
世尊 仏を得たまいて 未だ久しからざるに 乃し 能く 此の 大功徳の事を作したまえり

我等は復 仏の随宜の所説 仏の所出の言 未だ曾て 虚妄ならずと信じ 仏の所知は 皆 悉く 通達すと雖も
然も 諸の 新発意の菩薩 仏の滅後に於て 若し 是の語を聞かば 或は信受せずして 法を破する 罪業の因縁を起さん
唯然 世尊 願わくは 為に解説して 我等が疑を除きたまえ 及び 未来世の 諸の善男子 此の事を聞き已りなば 亦 疑を生ぜじ

 

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