妙法蓮華経 安楽行品 第十四

 

又 文殊師利 如来の滅後に 末法の中に於て 是の経を説かんと欲せば 安楽行に住すべし
若しは 口に宣説し 若しは 経を読まん時 楽って人 及び 経典の過を説かざれ
亦 諸余の法師を軽慢せざれ 他人の 好悪長短を説かざれ
声聞の人に於て 亦 名を称して 其の過悪を説かざれ 亦 名を称して 其の美きを讃歎せざれ 又亦 怨嫌の心を生ぜざれ

善く 是の如き 安楽の心を修するが故に 諸の聴くことあらん者 其の意に逆わじ
難問する所あらば 小乗の法を以て 答えざれ
但 大乗を以て 為に解説して 一切種智を得せしめよ

爾の時に世尊 重ねて 此の義を宣べんと欲して 偈を説いて言わく
菩薩 常に楽って 安穏に法を説け
清浄の地に於て 牀座を施し
油を以て身に塗り 塵穢を澡浴し
新浄の衣を著 内外 倶に浄くして
法座に安処して 問に随って為に説け

若し 比丘 及び 比丘尼
諸の優婆塞 及び 優婆夷
国王 王子 群臣 士民あらば
微妙の義を以て 和顔にして為に説け
若し 難問することあらば 義に随って答えよ

因縁 譬諭をもって 敷演し 分別せよ
是の方便を以て 皆 発心せしめ
漸漸に増益して 仏道に入らしめよ
嬾惰の意 及び 懈怠の想を除き
諸の 憂悩を離れて 慈心をもって 法を説け

晝夜に常に 無上道の教を説け
諸の因縁 無量の譬諭を以て
衆生に開示して 咸く 歓喜せしめよ
衣服 臥具 飲食 医薬
而も 其の中に於て ケ望する所なかれ
但 一心に 説法の因縁を念じ
仏道を成じて 衆をして 亦 爾ならしめんと願うべし
是れ則ち 大利 安楽の供養なり

我が滅度の後に 若し比丘あって
能く斯の妙法華経を演説せば
心に嫉恚 諸悩障礙なく
亦 憂愁 及び 罵詈する者なく
又 怖畏し 刀杖を 加えらるる等なく
亦 擯出せらるることなけん 忍に 安住するが故に

智者 是の如く 善く其の心を修せば
能く 安楽に住すること 我が 上に 説くが如くならん
其の人の功徳は 千万億劫に
算数譬諭をもって 説くとも 尽くすこと 能わじ

 

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