妙法蓮華経 法師品 第十

 

其れ衆生の仏道を 求むる者あって 是の法華経を 若しは見 若しは聞き 聞き已って 信解し 受持せば 当に知るべし 是の人は 阿耨多羅三藐三菩提に 近づくことを得たり
薬王 譬えば 人あって 渇乏して 水を須いんとして 彼の高原に於て 穿鑿して 之を求むるに
猶お 乾ける土を見ては 水 尚お遠しと知る
功を施すこと 已まずして 転た 湿える土を見 遂に漸く 泥に至りぬれば 其の心 決定して 水 必ず近しと知らんが如く

菩薩も 亦復 是の如し
若し 是の法華経を 未だ 聞かず 未だ 解せず 未だ 修習すること 能わずんば 当に知るべし 是の人は 阿耨多羅三藐三菩提を 去ること 尚お 遠し
若し 聞解し 思惟し 修習することを得ば 必ず 阿耨多羅三藐三菩提に 近づくことを得たりと知れ

所以は何ん 一切の菩薩の 阿耨多羅三藐三菩提は 皆 此の経に属せり
此の経は 方便の門を開いて 真実の相を示す
是の法華経の蔵は 深固幽遠にして 人の能く到るなし
今 仏 菩薩を教化し 成就して 為に開示す

薬王 若し 菩薩あって 是の法華経を聞いて 驚疑し 怖畏せん 当に知るべし 是れを 新発意の菩薩と為づく
若し 声聞の人 是の経を聞いて 驚疑し 怖畏せん 当に知るべし 是れを 増上慢の者となづく

薬王 若し 善男子 善女人あって 如来の滅後に 四衆の為に 是の法華経を説かんと欲せば 云何してか説くべき
是の 善男子 善女人は 如来の室に入り 如来の衣を著 如来の座に坐して 爾して乃し 四衆の為に 広く斯の経を説くべし
如来の室とは 一切衆生の中の大慈悲心 是れなり 如来の衣とは 柔和忍辱の心 是れなり 如来の座とは 一切法空 是れなり
是の中に安住して 然して後に 不懈怠の心を以て 諸の菩薩 及び 四衆の為に 広く是の法華経を説くべし

薬王 我 余国に於て 化人を遣わして 其れが為に 聴法の衆を集め
亦 化の比丘 比丘尼 優婆塞 優婆夷を遣わして 其の説法を聴かしめん
是の諸の化人 法を聞いて 信受し 随順して 逆らわじ
若し 説法者 空閑の処に在らば 我 時に広く 天 龍 鬼神 乾闥婆 阿修羅等を遣わして 其の説法を聴かしめん

我 異国に在りと雖も 時時に説法者をして 我が身を見ることを得せしめん 若し此の経に於て 句逗を忘失せば 我 還って為に説いて 具足することを得せしめん

 

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