妙法蓮華経 化城諭品 第七

 

諸の比丘 我等 沙弥たりし時 各各に 無量百千万億恒河沙等の 衆生を教化せり 我に従って 法を聞きしは 阿耨多羅三藐三菩提を 為しにき 此の 諸の衆生 今に 声聞地に住せる者あり 我 常に 阿耨多羅三藐三菩提に教化す 是の諸人等 是の法を以て 漸く仏道に入るべし

所以は何ん 如来の智慧は 信じ難く 解し難ければなり 爾の時の 所化の 無量恒河沙等の衆生は 汝等 諸の比丘 及び 我が滅度の後の 未来世の中の声聞の弟子 是れなり

我が滅度の後 復 弟子あって 是の経を聞かず 菩薩の所行を知らず 覚らず 自ら 所得の功徳に於て 滅度の想を生じて 当に 涅槃に入るべし 我 余国に於て作仏して 更に 異名あらん 是の人 滅度の想を生じ 涅槃に入ると雖も 而も 彼の土に於て 仏の智慧を求め 是の経を聞くことを得ん 唯 仏乗を以て 滅度を得 更に余乗なし 諸の如来の方便説法をば除く

諸の比丘 若し 如来自ら涅槃時到り 衆 又 清浄に 信解 堅固にして 空法を了達し 深く禅定に入れりと 知りぬれば 便ち 諸の菩薩 及び 声聞衆を集めて 為に是の経を説く 世間に二乗として 滅度を得るあることなし 唯 一仏乗をもって 滅度を得るのみ

比丘 当に知るべし 如来の方便は 深く衆生の性に入れり 其の小法を志楽し 深く 五欲に著するを知って 是れ等の為の故に 涅槃を説く 是の人 若し聞かば 則便 信受す

 

法華経 訓読 朗読