妙法蓮華経 化城諭品 第七

 

仏 諸の比丘に告げたまわく 大通智勝仏は 寿 五百四十万億那由他劫なり 其の仏 本道場に坐して

魔軍を破し已って 阿耨多羅三藐三菩提を 得たもうに 垂んとするに 而も 諸仏の法 現在前せず 是の如く 一小劫 乃至 十小劫 結跏趺坐して 心身 動じたまわず 而も 諸仏の法 猶お 在前せざりき

爾の時に トウ利の諸天 先より 彼の仏の為に 菩提樹下に於て 師子座を敷けり 高さ 一由旬 仏 此の座に於て 当に 阿耨多羅三藐三菩提を 得たもうべしと 適めて此の座に坐したもう 時に 諸の梵天王 衆の天華を雨らすこと 面ごとに 百由旬なり 香風 時に来って 萎める華を吹き去って 更に 新しき者を雨らす 是の如く絶えず 十小劫を満てて 仏を供養す 乃至 滅度まで 常に此の華を雨らしき 四王の諸天 仏を供養せんが為に 常に天鼓を撃つ 其の余の諸天 天の伎楽を作すこと 十小劫を満つ 滅度に至るまで 亦復 是の如し

諸の比丘 大通智勝仏 十小劫を過ぎて 諸仏の法 乃し 現在前して 阿耨多羅三藐三菩提を 成じたまいき

其の仏 未だ 出家したまわざりし時に 十六の子あり 其の第一をば 名を 智積という 諸子 各 種々の 珍異 玩好の具あり 父 阿耨多羅三藐三菩提を 成ずることを 得たもうを聞いて 皆 所珍を捨てて 仏所に往詣す 諸母 涕泣して 随って之を送る 其の祖 転輪聖王 一百の大臣 及び 余の 百千万億の人民と 皆 共に 圍繞して 随って 道場に至る

咸く 大通智勝如来に親近して 供養 恭敬 尊重 讃歎 したてまつらんと欲し 到り已って 頭面に足を礼し 仏を繞り畢已って 一心に合掌し 世尊を瞻仰して 偈を以て 頌して曰さく

 

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