妙法蓮華経 授記品 第六

 

爾の時に 大目ケン連 須菩提 摩訶迦旃延等 皆 悉く 悚慄して 一心に合掌し 世尊を瞻仰して 目 暫くも捨てず

即ち 共に声を 同じうして 偈を説いて言さく

大雄猛世尊 諸釈の法王
我等を 哀愍したもうが故に 而も 仏の音声を賜え

若し 我が深心を知しめして 授記せられば
甘露を以て灑ぐに 熱を除いて 清涼を得るが如くならん
飢えたる国より来って 忽ちに 大王の膳に遇わんに
心 猶お 疑懼を懐いて 未だ 敢て 即便ち食せず
若し 復 王の教を得ば 然して 後に 乃ち 敢て 食せんが如く

我等も亦 是の如し 毎に 小乗の過を 惟うて
当に 云何して 仏の無上慧を 得べきを知らず
仏の音声の 我等 作仏せんと言うを 聞くと雖も
心 尚お 憂懼を懐くこと 未だ 敢て 便ち 食せざるが如し
若し 仏の授記を 蒙りなば 爾して 乃ち 快く 安楽ならん

大雄猛世尊 常に 世間を 安んぜんと欲す
願わくは 我等に 記を賜え
飢えて 教を須って 食するが如くならん

爾の時に 世尊 諸の 大弟子の 心の所念を知しめして 諸の比丘に告げたまわく

是の 須菩提は 当来世に於て 三百万億那由他の 仏を奉覲して 供養 恭敬 尊重 讃歎し 常に 梵行を修し 菩薩の道を具して

最後身に於て 仏に成為ることを得ん 号を 名相如来 応供 正遍知 明行足 善逝 世間解 無上士 調御丈夫 天人師 仏 世尊といわん

劫を 有宝と名け 国を 宝生と名けん 其の土 平正にして 頗黎を地と為し 宝樹 荘厳して 諸の丘坑 沙礫 荊棘 便利の穢なく 宝華 地に覆い 周徧して 清浄ならん 其の土の人民 皆 宝臺 珍妙の 楼閣に処せん 声聞の弟子 無量無辺にして 算数 譬喩の知ること 能わざる所ならん 諸の菩薩衆 無数千万億那由他ならん

仏の寿は 十二小劫 正法 世に住すること 二十小劫 像法 亦 住すること 二十小劫ならん 其の仏 常に 虚空に処して 衆の為に法を説いて 無量の菩薩 及び 声聞衆を度脱せん

爾の時に世尊 重ねて 此の義を宣べんと欲して 偈を説いて言わく

諸の比丘衆 今 汝等に告ぐ
皆 当に 一心に 我が所説を聴くべし

我が大弟子 須菩提は
当に 作仏することを得べし 号を 名相といわん
当に 無数万億の諸仏を供し
仏の所行に随って 漸く 大道を具すべし

最後身に 三十二相を得て
端正 シュ妙なること 猶お 宝山の如くならん

其の仏の国土 厳浄第一にして
衆生の見る者 愛楽せざることなけん
仏 其の中に於て 無量の衆を度せん
其の仏の法の中には 諸の菩薩多く
皆 悉く利根にして 不退の輪を転ぜん
彼の国は 常に菩薩を以て荘厳せん
諸の声聞衆 称数すべからず
皆 三明を得 六神通を具し
八解脱に住し 大威徳あらん
其の仏の説法には 無量の
神通 変化を現ずること 不可思議ならん
諸天 人民 数 恒沙の如くにして
皆 共に合掌し 仏語を聴受せん

其の仏は当に寿 十二小劫なるべし

正法 世に住すること 二十小劫
像法 亦 住すること 二十小劫ならん

 

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