妙法蓮華経 信解品 第四

 

世尊 大富長者は 則ち 是れ如来なり 我等は 皆 仏子に似たり

如来 常に 我等を 為れ 子なり と説きたまえり

世尊 我等 三苦を以ての故に 生死の中に於て 諸の熱悩を受け 迷惑無智にして 小法に 楽著せり

今日 世尊 我等をして 思惟して 諸法の戲論の 糞をケン除せしめたもう 我等 中に於て 勤加精進して 涅槃に至る 一日の価を得たり 既に此れを得已って 心 大に歓喜して 自ら以て 足れりと為し 便ち 自ら謂うて言わく 仏法の中に於て 勤め 精進するが故に 所得弘多なりと

然も 世尊 先に 我等が心 弊欲に著し 小法を楽うを知しめして 便ち 縦し捨てられて 為に 汝等 当に 如来の知見 宝蔵の分あるべしと 分別したまわず

世尊 方便力を以て 如来の智慧を説きたもうに 我等 仏に従いたてまつりて 涅槃一日の価を得て 以て 大に得たりとして 此の 大乗に於て 志求あることなかりき

我等又 如来の智慧に因って 諸の菩薩の為に 開示 演説せしかども 而も 自ら此れに於て 志願あることなし 所以は何ん 仏 我等が心 小法を楽うを知しめして 方便力を以て 我等に随って説きたもう 而も 我等 真に是れ 仏子なりと知らず

今 我等 方に知んぬ 世尊は 仏の智慧に於て 悋惜したもう所なしと 所以は何ん 我等 昔より来 真に 是れ 仏子なれども 而も 但 小法を楽う 若し 我等 大を楽うの心あらば 仏 則ち我が為に 大乗の法を説きたまわん 今 此の経の中に 唯 一乗を説きたもう 而も 昔 菩薩の前に於て 声聞の小法を楽う者を 毀シしたまえども 然も 仏 実には 大乗を以て 教化したまえり

是の故に 我等説く 本 心にケ求する所 あることなかりしかども 今 法王の大宝 自然にして至れり 仏子の得べき所の如きは 皆 已に 之を得たり

 

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