妙法蓮華経 譬諭品 第三

汝 舎利弗 我が此の法印は
世間を利益せんと 欲するを為ての故に説く
所遊の方に在って 妄りに宣伝すること勿れ

若し 聞くこと有る者 随喜し 頂受せん
当に知るべし 是の人は 阿ビ跋致なり
若し 此の経法を 信受すること 有らん者
是の人は 已に曾て 過去の仏を見たてまつりて
恭敬供養し 亦 是の法を聞けるなり
若し 人能く 汝が所説を信ずること 有らんは
則ち為れ 我を見 亦 汝
及び 比丘僧 竝に 諸の菩薩を見るなり
斯の法華経は 深智の為に説く
浅識は 之を聞いて 迷惑して解らず
一切の声聞 及び 辟支仏は
此の経の中に於て 力 及ばざる所なり
汝 舎利弗 尚お 此の経に於ては
信を以て 入ることを得たり 況んや 余の声聞をや
其の余の声聞も 仏語を信ずるが故に
此の経に随順す 己が智分に非ず

又 舎利弗 キョウ慢 懈怠
我見を計する者には 此の経を説くことなかれ
凡夫の浅識 深く 五欲に著せるは
聞くとも 解すること能わじ 亦 為に説くことなかれ
若し人 信ぜずして 此の経を毀謗せば
則ち 一切世間の 仏種を断ぜん
或は 復 ヒン蹙して 疑惑を懐かん
汝 当に此の人の 罪報を説くを聴くべし
若しは 仏の在世 若しは 滅度の後に
其れ斯の如き 経典を誹謗すること あらん
経を読誦し 書持することあらん者を見て
軽賎憎嫉して 結恨を懐かん
此の人の罪報を 汝 今復 聴け
其の人 命終して 阿鼻獄に入らん
一劫を具足して 劫 尽きなば 更生れん
是の如く展転して 無数劫に至らん

地獄より出でては 当に 畜生に堕つべし
若し 狗 野干としては 其の形 コッ痩し
リタン 疥癩にして 人に 触ニョウせられ
又復 人に悪み 賎まれん
常に 飢渇に困んで 骨肉枯竭せん
生きては 楚毒を受け 死しては 瓦石を被らん
仏種を断ずるが故に 斯の罪報を受けん
若しは ラク駝と作り 或は 驢の中に生れて
身に 常に 重きを負い 諸の杖捶を加えられん
但 水草を念うて 余は知る所なけん
斯の経を 謗ずるが故に 罪を獲ること是の如し
有は 野干と作って 聚落に来入せば
身体 疥癩にして 又 一目なからんに
諸の童子に 打擲せられ
諸の苦痛を受けて 或時は死を致さん
此に於て 死し已って 更に 蟒身を受けん
其の形 長大にして 五百由旬ならん
聾ガイ 無足にして エン転 腹行し
諸の小虫に ソウ食せられて
晝夜に苦を受くるに 休息あることなけん
斯の経を謗ずるが故に 罪を獲ること是の如し

 

法華経 訓読 朗読