妙法蓮華経 譬諭品 第三

爾の時に 世尊
重ねて此の義を宣べんと欲して 偈を説いて言わく

舎利弗 来世に 仏 普智尊と成って
号を名けて 華光といわん 当に無量の衆を度すべし
無数の仏を供養し 菩薩の行
十力等の功徳を具足して 無上道を証せん

無量劫を過ぎ已って 劫を大宝厳と名け

世界を離垢と名けん 清浄にして瑕穢なく
瑠璃を以て地と為し 金縄 其の道を界い
七宝雑色の樹に 常に華果実あらん

彼の国の諸の菩薩 志念 常に堅固にして
神通波羅蜜 皆已に悉く具足し
無数の仏の所に於て 善く菩薩の道を学せん

是の如き等の大士 華光仏の所化ならん

仏 王子たらん時 国を棄て世の栄を捨てて
最末後の身に於て 出家して仏道を成ぜん
華光仏 世に住する 寿 十二小劫
其の国の人民衆は 寿命 八小劫ならん

仏の滅度の後 正法 世に住すること
三十二小劫 広く諸の衆生を度せん
正法滅尽し已って 像法三十二
舎利広く流布して 天人普く供養せん
華光仏の所為 其の事 皆是の如し
其の両足聖尊 最勝にして 倫匹なけん
彼即ち是れ汝が身なり 宜しく応に自ら欣慶すべし

爾の時に四部の衆 比丘 比丘尼 優婆塞 優婆夷 天 龍 夜叉 乾闥婆 阿修羅 迦楼羅緊那羅 摩ゴ羅伽等の大衆 舎利弗の仏前に於て 阿耨多羅三藐三菩提の記を受くるを見て 心 大に歓喜し 踊躍すること 無量なり 各各に身に著たる所の 上衣を脱いで 以て仏に供養す 釈提桓因 梵天王等 無数の天子と 亦天の妙衣 天の曼陀羅華 摩訶曼陀羅華等を以て 仏に供養す 所散の天衣 虚空の中に住して 自ら回転す 諸天の伎楽 百千万種 虚空の中に於て 一時に倶に作し 衆の天華を雨らして 是の言を作さく

仏 昔波羅奈に於て 初めて法輪を転じ 今乃ち 復 無上最大の法輪を転じたもう

爾の時に 諸の天子
重ねて此の義を宣べんと欲して 偈を説いて言さく

昔 波羅奈に於て 四諦の法輪を転じ
分別して諸法 五衆の生滅を説き
今復 最妙無上の大法輪を転じたもう
是の法は甚だ深奥にして 能く信ずる者あること少し
我等 昔より来 数 世尊の説を聞きたてまつるに
未だ曾て 是の如き深妙の上法を聞かず
世尊 是の法を説きたもうに 我等 皆 随喜す
大智舎利弗 今 尊 記を受くることを得たり
我等 亦是の如く 必ず当に作仏して
一切世間に於て
最尊にして 上あることなきことを得べし
仏道は思議しガタし
方便して宜しきに随って説きたもう
我が所有の福業 今世 若しは過世
及び見仏の功徳 尽く仏道に回向す

 

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